あ・うんの数寄講座は、茶の湯という日本独自の文化を切り口に、日本の美と心を語り合い、ともに考え、理解を深めるための連続講座です。私たちが日本という風土のなかで培ってきた伝統、そのなかで磨きあげてきた美意識とはどういうものなのか─。それを考え、いかにして人と共有し、のちの世代に伝えていけばよいかということを根本のテーマに、 平成10年から13年度までの4年間にわたり、香川県高松市で行われました。本書は、計8回におよぶ講演会を編集し、まとめたものです。

平成20年10月から平成22年12月に渡り四国新聞紙上で連載されたコラム「探訪讚岐の茶室(連載回数108 回)」を再取材.再構成し出版しました。編集は、取材チームを中心に結成された「香川の茶室を考える会」の皆様に、監修者として数寄屋棟梁の中川克英氏にすべての取材に同行していただきました。

茶道具の世界では中国大陸や朝鮮半島から輸入した舶来品「からもの」に対して、国産品を「くにもの」といって区別してきました。これは、そこから少し範囲を狭めて、幕藩時代の呼称·讃岐国をイメージした表題で、郷土の文化にちなんだ茶道具を中心に香川「さぬきもの」の紹介を試みて、財団機関誌·文化通心に連載したコラムに、これまでに他紙に掲載された関連した歴史エッセーなどを添えてまとめました。